日越交流における林邑僧仏哲の事跡

大西和彦

はじめに

anh-011本稿の目的は、中部ベトナムに栄えたチャンパー王国(192~1832)の林邑国時代(192~756)末期における仏僧で、日本に渡来した仏哲の事跡を通じて、8世紀のチャンパー仏教の一斑を考察することである。

仏哲は、736年に師の南インドの僧菩提僊那と共に日本へ渡来した。奈良の大安寺でサンスクリット語の教授を行い、742年には東大寺大仏開眼法会において舞をもって供養した。この舞は林邑楽と総称され、日本雅楽の重要な一部となり現在まで伝えられている。

日本の近代学術界では、仏哲について100年以上も前から論じられてきたが、その出身地を北インドとする説がある。一方、ベトナムでは仏哲の存在は知られてこなかった。そこで、本稿では、仏哲について以下の3点から論述することにする。 Continue reading